採用する保安装置

日武鉄道では、運行上の安全確保のためにいくつかの保安システムを導入しています。

【伊勢崎本線系統】

伊勢崎線本系統では、「TSPⅡ-ATS」を採用しています。

これは、信号機の手前2〜3ヶ所に地上子を設置し、信号機の現示に応じて閉塞区間侵入までに2つのパターンを用いて減速させる連続照査を行うパターン連続照査式のATSです。パターン関数は車上子が自らの車種などのデータを交えて算出し、地上子から受け取った情報も記憶します。

東武鉄道TSP-ATSとほぼ同じですが、基本動作のうち以下の2点が拡張されています。

①.従来より一つ多く地上子を配置した線区では、制動距離確保の効果により130km/h運転が可能

②.客車による機関車列車に対応した速度パターンを導入

また、曲線・分岐器制限とも連動するほか、急行線では誤通過防止機能を標準装備します。

【東上本線系統】

東上本線系統では、「ATS機能内含型デジタルATCシステム」と呼ばれる日武鉄道オリジナルのATCシステムを導入しています。

日武鉄道デジタルATCは、連続(無段階)ブレーキ制御が基本の、地上側主体多機能列車制御システムです。運転台には地上側から発信される路線情報を元に演算されるパターン速度や信号現示が常に表示され、減速パターンが発生した場合はブレーキ操作がなくても速度を超過することのないよう照査監視し、超過時には常用最大ブレーキにて連続的に減速します。地上側のシステムは、基本的に全ての列車を追跡し、位置を把握しており、それに応じた細かな制御をすることが可能です。また、運転速度のパターン接近時などには警告ベルを鳴らして認識度を向上させます。

《このシステムの特色》

・地上側主体型

地上側主体システムで、基本的に車上データベースが不要。これによりATCシステム更新時に乗り入れ他社車両に改修を要求せずに済み、自社車両も改修の必要がない。臨時ダイヤや工事区間にも柔軟に対応。

・運転台メモリーコネクタ(運転支援)

運転台に運転士携帯メモリーコネクタを設置、運転士が業務開始前に受け取るメモリーを差し込んで、特に臨時ダイヤなどの時により細やかな運転支援機能を提供(地上側主体システムのため、メモリーがなくても通常運転は可能)。

・ATS機能内含型(＊一部区間のみ)

ATS発信可能地上子を対応位置に配置することにより、地上ATCシステムから擬似的ATS信号を発信し、必要に応じて地上信号機表示もすることで、ATS車両も運行可能(伊勢崎本線方面からの列車や8000系臨時列車など)。ただし、その場合、安全性の都合上前後を走る列車が制約を受ける。(過去にATSから切り替えたため、信号機がまだ残っており、これをATCシステムと連動させ、適時地上信号機表示も可能とする。)

・グラフィック&音声支援

メーター横の信号現示と共に、iPad位の大きさの縦置き11インチ大型グラフィック表示と音声喚呼により、運転士に分かりやすく進路情報や速度制限、前後の列車位置などを提供し、運転を支援、認識ミスを防止。3回路先までの現示情報や速度制限、進路予告などを提供して運転操作の見通しを良くし、無駄な操作の削減や乗り心地向上に寄与。

《グラフィック画面に表示される項目》

①.列車番号、運転種別等

②.停車駅

③.3回路先までの信号現示

④.ポイント進路情報

⑤.前後の列車位置(遠い場合は無表示)

⑥.目標時分

など

備考:そのほか、停止位置補助機能や誤通過防止などの拡張機能を含む。